外傷・熱傷

がいしょう・ねっしょう

外傷、熱傷について

外傷外的な物理刺激によってできた傷のことを言います。

受傷機転(どのような物理刺激が加わるか)により創の性状が異なり
切創(切り傷)
・擦過傷(すり傷)
・挫創(鈍的外力によってできた傷)
・刺創(刺しキズ)
・咬傷(咬みキズ)があります。

処置は、傷の深さ、大きさ、組織損傷の度合、汚染(どのくらい汚れた傷か)により異なります。

熱傷熱によって皮膚組織がダメージを受けた状態です。
傷害された深さによって、やけどした部分に赤み、水ぶくれ、痛みなどが現れます。

深い部分に至るやけどは皮膚の壊死(えし)を生じます。
痕が残るかどうかは熱傷の深さによって決まります

熱傷の深さはⅠ度〜Ⅲ度までの深さで表現されます。
Ⅰ度は表皮(皮膚の最外層)の深さ
Ⅱ度は真皮(表皮の下の皮膚)までの熱傷で浅いⅡ度深いⅡ度に分けられます。
Ⅲ度は皮下脂肪に至るやけどです。
水疱がある時点でⅡ度以上となり、深いⅡ度Ⅲ度の熱傷は瘢痕(傷跡)が残ります。

熱傷の深さはやけどした時点ですぐには分からず数日〜1週間ほど経過してからはっきりしてきます。

治療方法や治療期間は傷の深さにや傷の状態によって変わります。

低温熱傷は気づかない内に深い傷を残す可能性があり注意を要します。

やけどが深くまで達した場合、やけどした場所によっては瘢痕拘縮(関節の曲げ伸ばしがしにくくなる)などの後遺症を残す可能性もあるため、植皮術を必要とすることがあります。

また、やけど部位から細菌が侵入して二次感染を生じることがあり、その場合治療に抗生剤が必要になることもあります。

外傷、熱傷の治療

外傷治療は洗浄が基本となります。
傷の汚れががひどい場合は念入りに洗浄します。

浅い傷であれば、抗菌作用のある軟膏や皮膚を保護する軟膏のみで改善します。

切り傷や挫創の一部で創がきれいな状態であれば縫合することもあります。

創が汚れている場合や動物に噛まれた傷、錆びた金属によって受傷した場合、破傷風トキソイド(ワクチン)の注射を行う場合があります。


熱傷の初期治療はクーリング、ステロイド剤による炎症の抑制、痛み止めの内服です。

数日〜1週間程度で傷の深さがはっきりしてきますので、傷の深さに応じて外用剤を塗り分けたり、内服治療を行います。

深い熱傷の場合、壊死組織デブリードマン(死んだ皮膚組織を除去すること)を行ったり、植皮が必要となることがあります。

深い熱傷広範囲の熱傷の場合、命に関わることもあり、クリニックでの対応が難しいため総合病院に紹介しております。

外傷、熱傷の注意点

創は消毒しないようにしましょう。
水道水を用いた石けん洗浄で十分です。
消毒薬は細菌を殺菌しますが、皮膚の正常組織もダメージを受けてしまい、治りが悪くなります。

免疫が低下するご病気をお持ちの方、糖尿病がある方、閉塞性動脈硬化症動脈が閉塞して血のめぐりが悪いご病気)の方は特に注意が必要です。

免疫が低下していると傷から感染を生じやすく、重症化しやすい傾向があります。

糖尿病や閉塞性動脈硬化症の方は末梢の血の巡りが悪く、熱傷や外傷に伴う感染をきっかけにして手足が壊疽(えそ)を起こす可能があります。