掌蹠膿疱症

しょうせきのうほうしょう
掌蹠膿疱症の臨床写真1
掌蹠膿疱症の臨床写真2

掌蹠膿疱症について

手の平や足の裏に、小さい膿疱(白い膿がたまった皮疹)をくり返すご病気です。

膿疱とともに炎症で皮膚が赤くなり、膿疱が破れて皮がめくれたり亀裂を生じ、痛みで日常生活に支障をきたします。

膿疱の中に細菌はいませんので、この病気が人にうつることは決してありません。


発症原因は明らかとはなっておりませんが、

歯根部の病巣感染(慢性の細菌感染症)
喫煙(タバコ)
・扁桃炎
歯科金属アレルギー

が発症や増悪に関与していることがわかっています。

掌蹠膿疱症の方の中には、頻度は少ないですが、胸の骨や関節に炎症を生じる方がおられます。

掌蹠膿疱症性骨関節炎(pustulotic arthro-osteitis:PAO)と呼ばれ、胸部の関節痛による激しい痛みによって日常生活に支障をきたします。


掌蹠膿疱症の治療

悪化因子を取り除く

まずは、悪化因子を取り除くことが優先されます。

喫煙されている方は禁煙することが大切です。

歯根部慢性感染病巣がある方は、歯医者さんで歯根部の治療を優先していただく必要があります。

歯科金属アレルギーが疑われる場合には、歯科金属の除去を検討することもあります。

・扁桃炎をくり返しており、そのたびに皮膚症状が悪くなる方は、扁桃切除も検討します。

皮膚症状に対する治療

・局所の炎症を抑えるためにステロイドの塗り薬ビタミンD3の塗り薬を塗ります。
ビオチン(ビタミンBの一種)抗アレルギー剤内服が有効な方もおられます。

治りにくい場合

治りにくい場合には
週に1〜2度の紫外線療法(エキシマライト)
ビタミンA誘導体内服薬やステロイドの内服薬を使用することもあります。

生物学的製剤(注射薬)

高額な治療にはなりますが、掌蹠膿疱症にはIL-23という炎症を起こすタンパク質を抑制する抗体製剤である生物学的製剤の注射薬が適応となっております。

悪化因子を取り除いたにもかかわらず、一般的な治療で治りにくい方は適応となります。
クリニックでは使用できませんので、ご希望の方は近隣の総合病院へ紹介致します。

関節痛に関しては鎮痛剤の内服を行います。
関節痛が強く生活に支障を来している方はより専門的な治療が必要となるため、近隣の総合病院へ紹介致します。

掌蹠膿疱症のその他の注意点

歯根部の病巣感染がある方は、歯科で治療を行いましょう。
歯根部の治療後も手足の症状はすぐには改善せず、治療後数ヶ月してから効果が表れることが多いです。

喫煙者に掌蹠膿疱症が多いというデータがあります。
禁煙しても全ての人が掌蹠膿疱症が改善するわけではないですが、禁煙することを強くおすすめします

多くの方は平均3〜7年で寛解すると言われています。

根気強く治療を継続しましょう。