帯状疱疹
帯状疱疹について
ヘルペスウイルスの一種である水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスによる感染症です。
幼少期に水痘(みずぼうそう)にかかると、水痘(みずぼうそう)のウイルスが体の後根神経節(背骨の中を通る神経のそばにある神経節)に潜伏感染します。
通常、ご自身の免疫力でウイルスを押さえ込んでいるのですが、疲れ、ストレス、加齢、他のご病気、手術や強い治療などで免疫力が低下すると、神経に沿ってウイルスが増殖して帯状疱疹が出現します。
どの年代の方にも発症する可能性があり、顔、体、上下肢いずれの部位にも出現します。
通常は片方の一つの神経の流れに沿って皮膚症状があらわれます。
帯状疱疹の経過
ちくちく、ひりひり、ずきずきといった痛みが先に出現し、そのあとから皮膚に赤みや水ぶくれがでてくることが多いです。
帯状疱疹の症状、合併症
ウイルスの増殖によって神経が傷ついた状態になりますので、痛みや感覚障害(鈍い感じ、違和感)を生じます。
稀に、運動をつかさどる神経が傷ついて運動麻痺を生じたり、顔に帯状疱疹を生じ脳神経が障害されると角膜炎などの眼症状や難聴、めまいといったの聴神経症状、顔面神経麻痺を生じることもあります。
陰部やお尻に帯状疱疹が出た場合、膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)を生じ、尿や便がでにくくなることもあります。
免疫力が低下するご病気をお持ちの方や免疫を抑制する治療薬を使用されている方は、ウイルスが脳に炎症をおこし脳髄膜炎(のうずいまくえん)を起こす方もおられますので注意が必要です。
神経がひどく傷つくと、神経が過敏な状態となり、帯状疱疹後の神経痛が残る方がおられます。
免疫が低下するご病気をお持ちの方、免疫を抑制する飲み薬を飲まれている方、高齢者に神経痛が残りやすいです。
びらんはその後痂皮(かさぶた)になり、少しずつ皮がはってきます。
帯状疱疹の治療
水痘帯状疱疹ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬の内服をおこないます。
他のご病気や治療によって免疫力が著しく低下されている方、皮膚症状の強い方、痛みの強い方、眼障害や聴神経障害が疑われる方は入院のうえ、点滴治療が必要となります。
その場合は、総合病院に紹介致します。
ヘルペスに対する抗ウイルス作用のある外用剤もありますが、帯状疱疹に対しては効果がありません。
水疱がめくれじゅくじゅくとした浸出液が出る場合は、皮膚を保護する軟膏を外用し、ガーゼで覆います。
痛みに対しては、痛み止めの飲み薬を内服します。
炎症の痛みに効くお薬、神経痛に効くお薬などを数種類組み合わせて内服します。
痛みがあまりに強い場合は、お近くのペインクリニックに受診することをお勧めすることもあります。
治療後の経過
通常、治療開始後1〜2週間程度で水ぶくれがかさぶたになり、ウイルスの増殖はおさえられます。
皮膚の皮がはり、痛みが軽減するのに3〜4週間ほどかかることが多いです。
1ヶ月経過した後も強い痛みが続く場合は神経痛が残る可能性があります。
帯状疱疹についての注意点
生活習慣
- 疲れやストレスをため込まないようにしましょう。
- 帯状疱疹がでているということは、免疫力が低下している状態である場合が多いです。
無理せず、自宅で安静にしましょう。 - 症状にもよりますが、軽症であればデスクワーク程度は可能です。
食事の制限は特にありませんが、刺激物は避けましょう。
注意を要する症状
次のような症状があられる方は入院して点滴治療を行う必要があります。
- 強い頭痛がある
- 意識がもうろうとする
- 普段と違う奇妙な行動をとる、会話が成り立たない
- 眼がかすむ
- 耳が聞こえにくい
- 顔面が麻痺している(まぶたが閉じない、口から飲み物がこぼれでる)
- 手足が動かしにくい
- 神経の流れに沿った部分以外にも水ぶくれができている
このような症状がある場合は、直接総合病院を受診されるか、当院を受診された場合はすぐに総合病院へ紹介致します。